Foto: Mayako Kubo

「今日、私は赤い」サキソフォンカルテット〜 音楽批評

複合手法, 逸話風、ダンス的であり、調性と伝統的な歌曲方式を逆使用したり、現代作品のサウンド(微分音、グリサンドなど)も充分に取り入れ、加えて鳥の鳴き声の真似も入った1楽章形式がかたどられている。
常にスピード感のあるエピソードは猛烈なしかしその後どもってしまう手回しオルガンに到達する。そしてその場所は水鳥笛の演奏と取り替えられる。
不完全なポリフォニーとホモリトミックが3拍子、4拍子のテクスチャーに組み込まれている。奈落に落ちるようでしかもグロテスク、しかしブルゲンランド地方のわらべ唄から得た遊びの要素との対決は最後には息詰まってしまう。「今日私は赤い、明日私は死ぬ」というわらべ唄は作曲家久保が言うように「残酷になってしまった時代の残酷な唄」である。最後には小鳥だけが墓場でさえずっている。

ミヒャエル・ツベッツナー  Neue Zeitschrift für Musik、
楽譜:Verlag Neue Musik.

記事をその外の

5月の雪
Erik-Jan Ouwerkerk
息を飲む演奏